からたち雑記帳

読んだり観たりしたもの

レンタルDVDショップで手厚い謝罪を受けてしまった話

嬉しいけどなぜかちょっと残念だったような話。

先日、レンタルDVDショップで借りていた映画を返却しに行った。いつもは返却ボックスに入れたらそそくさ退店するのだけど、今回はレジで返却することにしていた。

借りていたのは『パディントン』と『パディントン2』。正月に観ようと意気込んでいたのだけど、1作目のクライマックス直前、恐らくDVDの不具合で再生が止まってしまったのだ。

黙って返したら次に借りる誰かとお店が困るだろう。

ちょっと良いことをする気分だったし、店員さんに感謝してもらえるのでは?という期待があった。

入店してすぐ、作業している店員さんに声をかけて、再生が止まってしまった旨を伝えた。すると店員さんは丁寧に謝罪してくれて、その上「同じ作品のディスクがないので、返金か別の作品を無料レンタルさせていただきます」と言う。

たしかに私はお金を払って借りたDVDが観られず、その分損をしてしまったことになる。お店としては、損をしたことを訴える客に謝罪をする場面だ。

私としてはDVDを借りたはいいものの観るタイミングを失ってそのまま返すことが普通になっていたので、お店のせいで自分が損をしたという発想がなかった。クライマックス直前で映画が止まってしまったのは悔しかったけど。

なぜか拍子抜けしつつ、ありがたい申し出を受けて代わりに別の作品を借りることにした。

レジを立ち去る直前、店員さんが「もう一作は…」と尋ねてくる。「あ、観てないです」「1を観れなくて続きも観られなかったということなので、2枚分無料貸し出しということにしますね」

なんと。続きものをレンタルした客の目線に立った柔軟で親身な対応だ。びっくりすると同時に感動したものの、「あ、そうですか、いいんですか」と口にするしかできなかった。

ありがたく旧作の棚を眺め回して、『エクスペンダブルズ2』と『コードネームU.N.C.L.E』を選んだ。(ちなみに後者だけ未見)

なんとなく気まずく感じながら同じ店員さんに貸し出し処理をしてもらい、普段より2割増しで腰を低くしてお礼を言うと、「少々お待ちください」と何やら取り出してきた。

「ご迷惑をおかけしたので、無料レンタルのクーポンをどうぞ」

なんてこった。

私も私で、「そんなにしてもらったら却って申し訳ないです」と言えばかっこいいのに、「あっ、ほんとですか」などと口走りながらクーポンを押し頂いてしまった。

お店にプラスになるかと思ってDVDの不具合を申告したら、めちゃくちゃ丁寧に謝らせてしまった上に、無料貸し出しの恩恵にあずかってしまった。

予想外に得をして嬉しいのはもちろんだけど、感謝してもらえるかもという勝手な期待は空振りし、不思議な罪悪感まで感じる、なんともいえない出来事だった。